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FOXY LADY

  • KEI
  • 2010.12.28

皆様どうでした?

クリスマス!

ボクは風邪にてダウン!!

うらやましいスか?

イヤー、それほどでもないッスよ!

とにかく本日全快。


はりきって「電車の中」年末スペシャルをお送りします。





-電車の中-


第2話 「電話男」



11月のとある日。

まだ暖かな日差しが残っていた頃のお話です。


日曜日16時のJR中央線 立川発・東京行きは、乗車率70パーセント。

夕日が車内を、その車体と同じオレンジ色に染め、深い陰影を造り、それがユラユラと揺れていた。

そのサイケデリックな雰囲気にボクはつい、ウトウト。

ほどなくボクが目を覚ましたのは、電車が大きく揺らいだせいだろうか。

あたかもこれから始まるカーニバルの予感に身を震わせるように。

そして電車は国分寺駅に到着する。



「もしもし!いいから来いって!」

彼は大声で電話をしながら乗り込んできた。

ボクも含め、何事かと注目する乗客を気にするでもなく、彼は戸口に立って電話を続ける。

「すぐ来いって!」

マナーは悪いが、いたって普通の若者ではあるようだ。

と思っていた。

あることに気付くまでは。




耳に当てられた彼の左手、

そこには、あるはずの電話がなかった。




キタ!


ボクは彼をもう一度丹念に観察する。

坊主頭に、やや濃い目の顔。

海老蔵意識といえなくもないが、おそらくそれはない。

服装はラフだが、おかしなところはない。

ただ、背負っているリュックがこれ以上ないという位、パンパンに膨らんでいる。

なぜかそこに底知れぬ可能性を感じた。


うん。

これは、もう一山あるな。



だが、ボクは間違っていた。

一山どころじゃなかったのだから。



彼の電話は続く。

「いいから、来いよ!」

とにかく相手をこちらに呼びつけたいようだ。

表情もイラついたものに変わってゆく。

しかし、いずれも扉に向かってのパフォーマンス。

どうやら、彼のスタイルは参加型ではなく、劇場型のようだ。

我々オーディエンスはただ固唾を飲んで見守るのみ。

惜しむらくは、最前を取り損ねたことか。

今更ながら、臍を噛む。



そこで、彼は一層大きな声でこう言った。



「いいから来いって、ラスベガス。」



・・・いつからだろう。

東小金井がラスベガスになったのは。



「今、ラスベガスだから。」

「すぐに来いって、ラスベガス。」

堰を切ったように繰り出されるラスベガス発言に我々が翻弄されていたその時。





「無理よ!」


え?

突然、ソプラノが響き渡る。



不覚!

参加型だったのか?

飛び入り参加アリ?

そう思って、周囲を見渡すもそれらしき女性は見当たらず。




「いいから来いよ、ラスベガス!

彼がまた同じ台詞を口にする。



「無理だって!」

澄んだソプラノが、同じく返答する。

ただし、それは




同じ口から飛び出した。




・・・ 一人二役!

しかも性別を超えたその徹底した役作りは、まさにデニーロ・アプローチ!

ブラボー!

ハラショー!




そしてこの辺りから、彼のパフォーマンスにはターボが掛かり始める。

「来いよ、ラスベガス。」

「無理よ。」

「来いよ、ラスベガス。」

「無理よ。」

「なんでだよ!」

「だって、今・・・」










「油揚げ 持ってるから!」





舞台はラスベガス。

男は華麗なギャンブラー。

今夜の彼は大勝ちをして興奮しているのか、大負けをしてヤケになっているのか。

ふと、日本に残してきた女のことを思い出し、電話をかける。

「お前が必要なんだよ」

甘い囁きで呼び寄せようとするが、彼女は首を縦に振らない。

なぜなら、彼女は

油揚げを持っているからだ。



・・・というような事でよろしいんでしょうか、監督!

ゴダールも寺山修司も裸足で逃げ出す不条理劇はまだまだ続く。


シーン4!

はい!スタート!




「なんでだよ!」

「だって油揚げ持ってるから。」

「なんでだよ!」

「だって油揚げ持ってるから。」


「なんでですか!」

「なんでやねん!」





!!!!!

驚愕の第3、第4の人物登場!

もはや、電話という設定をも飛び越え、物語は群像劇へと発展する!


果たして、この物語はどのように収束してゆくのか、もしくは していかないのか?

緊張感みなぎる車内の扉が吉祥寺駅で開いた時、そこには恐ろしい結末が待っていた。













降りたのだ、彼は。



「なんでやねん!」

と言いながら。








・・・こうして、国分寺から吉祥寺まで、約10分の間 綴られた一大抒情詩は、

誰もが予想せぬ「なんでやねん」という コテコテにベタなオチでもって幕を閉じた。





ブラボー!

ハラショー!

車内に響き渡るスタンディングオベーション。

それがボク一人によるものだったのは、言うまでもない。






K E I


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